自分がメタバースを勉強することを目的に、エイヤとこちらの本を読みました。
本日はそのレビューです。
メタバースビジネス覇権戦争
新 清士 著
NHK出版新書
紹介
本書ではメタバースにおける現状のビジネスや企業の動向が描かれています。
ゲーム企業/Meta/Meta以外の巨大企業/新興企業の4つの区分けで、
それぞれごとに解説がなされており、非常によみやすくなっております。
ゲーム企業
フォートナイトというゲームを提供しているEpic、Robloxの紹介があります。
この中でゲーム企業のメタバースへの取り組みとその現状について言及されています。
Meta
メタバースを現在語る上で取り上げられないことはない企業でしょう。
一方でそのMetaが何をやっているかを知っている人は存外少ないのではないでしょうか。
本社では1章を割いてMetaのサービス、またハードウェア=Occlasというゴーグルへの取り組みについても解説されております。
Meta以外の巨大企業
ここではMicrosoft、Google、SONYといったいわゆるメタ以外の巨大企業の取り組みが紹介されております。
メタバースがまだ一般的に理解されていないなかで、巨大企業がどういったサービスを行っ
ているのかが、非常によく整理されて言及されています。
巨大企業ということもあって、やはりサービスだけでなくハードウェアレベルでのプロダク
ト開発も行っており、まだメタバースに詳しくない方には、巨大企業の意外とも思える取り
組みを知ることができます。
新興企業
最後に新興企業の取り組みについての解説があります。
新興企業とあって、かつメタバースの草創期といこともあり、巨大企業とは異なるアプローチでの取り組みやトライアルが行われています。 PokemonGoの開発元Niantic社のAR(仮想空間ではなく現実空間)に対する目論見や、サンドボックスのNFTを交えたビジネスのあり方についての紹介があります。
レビュー
現時点でのメタバースにおけるビジネスを俯瞰する上で非常に理解し易い内容となっています。
また同時に、主要なプレーヤの企業の取り組みが網羅的に紹介されているため、「メタバース」という言葉だけの理解を一歩進めて、具体的にどういったことをしているのかを知る上で非常に有意義な一冊となっています。
とりわけ私が印象的だったこと、考えたことは下記4つ
ゲームから普及している驚き
ゲームの世界からメタバースのユーザーが定着していっており、かつビジネス的にも大きな収益化が成し遂げられているということ。
意外かもしれませんが、メタバースと言われると何かしら新規なエキセントリックなサービス体験をおもいがちですが、実はゲーム分野がメタバースという世界を体現していたという灯台s下暗し的な印象を受けました。
同時にそこで起きているビジネス規模が実はすでに非常に大きなものになっているといこと、今後メタバースを牽引する技術もゲーム企業から発信されるのではないかと思えるような技術アセットを既に有していることに目から鱗の思いでした。
NFT≠メタバース
”NFT“という技術はイコール=メタバースではなく、今後なんかしらの形で大なり小なり影響しあうモノであるということ。
Web3やNFTといったワードで同じ文脈上で語られるメタバースですが、ここの区切りを少し理解できました。
仮想世界でのアイテムがNFTで固有のもの(有限なもの?)になっていくという点での進化は当然あるのかもしれないのですが、活用される範囲が“アイテム”以外にあるのか?、またゲームやサービスの枠を跨いでアイテムが使用できるようになるには、3DCGの規格を揃える必要があるなどの問題も抱えていることもあり、メタバースにとって必須であるということではないことを理解できた点で有意義な学習ができました。
AR拡張現実の可能性
メタバースが仮想空間にとどまらず、現実空間においてもビジネスの対象となっている点について個人的に非常に大きな期待を持ちました。
いわゆるARと呼ばれるものですが、これまでのARでは画面に何かしらを表示するだけのものをイメージしていました。
しかし、空間をコンピュータに認識させられるようになれば、例えばPokemonGOにおけるモンスターの挙動が“壁に隠れる”といったより自然なものになることはもちろん、あらゆる場所が広告スペースになったり、スマホではなく常時そういった拡張された現実を見るためのデバイスとしてグラス型デバイスがあって、、などビジネスの拡がりを感じました。VR型とは異なるシースルーのAR型のデバイスの開発に巨大企業や新興企業が挑戦することもうなずけます。
メタバースを体験するデバイスの課題
デバイスについてはVR型/AR型含めて、まだ未成熟の段階で今後の飛躍が待たれる状況にあるでしょう。
普及/一般化に対して、サービス内容そのものに問題がある一方で、それを体験するデバイス側にもいくつか下記のような問題があるとも捉えられます。
ここの解消が進む中で、あるとき急激に普及し始めるのかもしれません。
- 小型化(大きいものを被っていたくない)
- 省電力化(バッテリーで外でも長く使える)
- 視覚的体験の向上(より高解像な画面、3DCGの処理にパワーがいるetc)
- 価格が高い(技術がこなれていないため、スケールメリットがでないためetc)